2014年11月17日月曜日

「トークバック」のここがステキ⑩:海野貴彦さん編

イシカワです。上映会まであと2週間を切りました。どんどんテンションを上げていきますよ!
というわけで、今週水曜19日19:30から和光会館にてウォーミングアップ企画第2弾「Live Together~表現」です。ついに画家・海野貴彦が登場!
カイノさんは「トークバック」をどう観たのでしょうか?ご覧ください。

右がカイノさん。左はゲストDJのDoc. Koyamantado。

--------------------

「トークバックを観て」

まず、この映画が好きか?と聞かれればキライな方の映画です。
それもかなりキライな方です。

なぜかなぁ。
キライだなと感じる事にも、理由はあるだろうと思うので少し考えてみます。
まず自分の好みでは、立派だったり、頭のいい人が、どうにもこうにもガマンならず、しょーもなく、しどろもどろに成りながらダメな人になっちゃう、この様な構造がある物を好んでいるように思います。
くだらないことに無我夢中に成れる、と言い換えてもいいかも知れません。
その構造は演じてる人にも言えるようで、例えば、広島のヤクザ社会を描いた「仁義なき戦い」の菅原文太や、一般的社会の枠に収まりきれず放浪を繰り返す「男はつらいよ」の渥美清など、この日本で育って、今まで観てきたものが好みに影響しているのだと思います。
ほんとは賢いのにその賢さを使って全力でダメな、クズな人を描く。そこに愛嬌を感じる。こういう好みですね。
映画観る時には、そういうものを観る、そういう人が舞台に立つ、と思っているようです。

一方、このトークバックに出てくる人は、基本、クズです。
それは育った環境や、自分のせいでそうなった訳ではないにせよ、スタートラインがろくでなしのクズ、という設定です。
言葉にするととても乱暴ですね。でもこれがこの映画のつくりなのでしょうがないです。
この映画の上手い所は、十人十色の登場人物にクズと言い切れない事情がそれぞれに散らされていて、思わず病気を抱えてしまった人などが登場し、その何かしらで事情を抱えてしまった人たちを、確かジョーンズって名前の伝説のボクサー、シュガー・レイ・レナードにそっくりなババアが肯定的に受け止め長所に変換し、心を開放させ人前で披露させハレの舞台に堂々と立つ!ついでに一緒んなって、ジョーンズのババアも舞台に立つ!
舞台の素人だった、基本マイナスに居たクズだった人たちが“きっかけ”によって立派になっていく。
その上、人生の困難もこんな乗り越え方も有るよね、とみせつけ、語られる。
こういう構造は、育った環境のせいか、俺は全く共感が持てないのです。
キライだなぁ、という反応になっちゃう。

ただ、分かっている点としては、社会には色々な人がいて、それぞれ色々な問題を抱えていたり、個性を持っている人たちがいて、社会を構成している。それを悪く言ったり、差別したりせずに、一緒に包み込みながら、理解し肯定していくことが〝豊か〟とされているこの社会では、この映画を観て嫌悪感を持つ人はレベルが低いと思われてしまう。
そういった点で、仮に“アート”として映画を観たら、悪く言えない、という強度がありほんとに上手く出来てるなぁと、個人的に思います。
そんなこんなで、・・・キライだなぁ、と思いながらこの映画を眺めつつ、全然違うことが気になってくる。

話が前後するけど、そもそも自分から進んでこの映画を観ることはなかっただろうな、と思う。
俺は、この映画を愛媛県の松山で上映をする事を熱望している石川良子という、大学で社会学だったか何だったかの教鞭をとっている人から、トークバック上映に向けて、一緒になんかして欲しい、という声をかけてもらったのがきっかけで、今この映画を眺めている。
俺は映画にしろ音楽にしろ自分が興味を持ちチョイスするセンスが全く無いのです。
その事を知っているので、石川さんが、このトークバックを松山で流さなければ!観て貰わなければ!ならない、と切に感じてチョイスして、
そして俺の力が、少なからず必要だ、と思った“直感”は、全部丸ごと信じている訳です。

・・・なんで石川さん、俺にこれを観て、一緒になにかしよう!って言ってきたんだろうか、と。
そんな事を思いながら映像を眺めていると、好みではないキライな構成の映画であるにせよ、ほんとに丁寧に、時間をかけてこの映画の取材、撮影をしている事がよく分かってくる。
先ほど、伝説のボクサーにしか見えなかったジョーンズ、恐らくこの映画の監督が自ら丁寧な取材を重ねて撮っていったのだと思うのだけど、この監督が直感的にジョーンズという人に傾倒し、ジョーンズの偉大な愛、そこから巻き起こるムーブメントをなんとか、丁寧に封入したくて映画にまとめていった事が、だんだん伝わってくる。

そして映画を観てこの文章を書きながら、いよいよ分かってくる事があるんです。
それは、俺は画家、として生活をしているけれど、画家として生活をしているから致し方なしにこのような文章を書かせてもらったり、人前で偉そうに話さなくちゃならないのですが、はっきりいって、誰よりも基本的に、人間的にクズ、大クズ!なのだ、ということです。
そんな人間が、気がつけば仕事柄、人に向けて何かを発信しなくちゃならない。
この構造が、この映画ととても似ているのです。
やられたな、と。この映画は自己嫌悪ってやつですね。

人には色々好みがあります。スキ、キライ、と。
直感的に、キライと思うもの、面白いとか、面白くない、とか感じる物。
そんな所はさておき、とにかくこの映画には、今までの自分には無かった、
なんかしらの“きっかけ”になる窓口があるように思います。

11月30日、は
是非、一緒に「トークバック」を観ましょう。

              2014.10.27 画家、海野貴彦


11月19日、
俺はこの映画を観る為の、準備運動の様なライブペイントを
「Live Together」というタイトルでおこないます。

よろしくお願いします。


-------------------------
ウォームアップ企画第2弾「Live Together~表現~」
【日程】 2014年11月19日(水) 
【会場】 和光会館(松山市緑町1-2-1)シアターねこ内、
【参加費】1000円
【申込方法】こちらのイベントページで参加ボタンを押してください。





0 件のコメント:

コメントを投稿